このページでは、オリーヴについての知識をご案内しています。

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1. オリーヴの基礎知識
2. オリーヴの栽培
3. オリーヴの収穫
4. オリーヴの加工
5. オリーヴオイルの市場と販売
6. オリーヴオイルの使い方

1. オリーヴの基礎知識

イタリアカラブリア州の樹齢600年のオリーヴの木オリーヴの起源については諸説ありますが、地中海地方にその発祥を求めることができます。モクセイ科の常緑樹で、強い生命力から世界中に伝播し、現在では亜種も含めて数千種類が栽培されていると言われております。
春に開花、風による受粉で結実し、秋に実が熟し収穫できます。実は渋みが非常に強いために、そのままでは食用に適さず、渋抜きをして加工することで食べられます。
また、その実は不飽和脂肪酸、抗酸化物質を含むオイル分を20~30パーセント含み、実を粉砕して油分を分離することでオリーヴオイルを取ることができます(100kgの果実から14~15リットル程度)。
その強い生命力から、栽培地での緑化貢献、多様な加工食材の普及の点で人類の発展の歴史に大きく関与してきたと言えます。

イタリアカラブリア州の樹齢600年のオリーヴの木

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2. オリーヴの栽培

イタリア南部丘陵地のオリーヴ畑オリーヴの栽培とオリーヴオイルの生産は地中海沿岸地方では広く産業化されており、地域、国により、その土壌、気候、品種、栽培方法、収穫、加工方法等により、様々なタイプが産出されています。地中海地域でのオリーヴ栽培が盛んな国としてはイタリアとスペインが代表的で、オリーヴオイルの生産でも世界をリードしています。

イタリア南部丘陵地のオリーヴ畑

 

イタリアとスペインではオリーヴの品種及び栽培方法が大きく異なります。国土の違いによるところが大きく影響しています。

イタリアは丘陵地帯が多いお国柄、強い品種のフラントイオ、レッチーノなどは全国的に植えられ、各地方の地品種と共に比較的小規模な農園経営によって、地場産業としての加工が伝統的に行われております。特にイタリア南部には樹齢数百年もの木が見られます。

 

スペイン南部平原のオリーヴ畑(機械による収穫のために十分な樹間スペースが取られている)一方スペインでは、例外もありますが、一般的に広大な平地に大規模に栽培がされ、収穫も機械化によって効率化、大規模搾油場にて加工されています。

スペイン南部平原のオリーヴ畑(機械による収穫のために十分な樹間スペースが取られている)

 

 

 

世界的なオリーヴオイルの普及と需要拡大により、最近では地中海沿岸のみならず、北米大陸、オーストラリアでもオリーヴの栽培とオリーヴオイルの生産が行われるようになりました。

日本では明治時代に明治政府が殖産振興の一環でヨーロッパからオリーヴの木を輸入し、栽培を始めた歴史がありますが、香川県小豆島及びその近隣において栽培が続けられてきております。

日本特有の台風による倒木被害、虫害等を乗り越えて100年以上に亘り発展してきた歴史があります。

香川県小豆島にある100年を経たオリーヴの木

 

 

 

香川県小豆島で1919年に植えられたオリーヴの木。(小豆島オリーブ園)

 

農業生産法人南あわじオリーヴ園では、日本でのオリーヴ栽培と加工産業化の普及に貢献すべく、淡路島の気候と土壌を活用したオリーヴ事業活動を行っております。

農業生産法人南あわじオリーヴ園でのオリーヴの栽培は以下のような方法で行われています。

オリーヴ栽培方法

1.苗木の植え方

◆用意するもの……培養土、支柱、麻紐、じょうろ、軍手、マスク

○鉢植え……鉢、移植ごて、底石、ネット

  1. 鉢穴にネットをしき、底石を鉢の2割までいれます。
  2. 鉢に苗木をいれて高さを確認し、培養土を足してください。縁から2cmのところに苗木の表土がくるのがちょうどいい高さです。
  3. 苗木をポットから出し、春先は根鉢をほぐして土をいれます。それ以外の季節は根鉢をほぐさずに土を足してください。
  4. 支柱を立てて、鉢底から水があふれるぐらいまで水やりをしてください。

○庭植え……剣先スコップ、苦土石灰、完熟堆肥

  1. 植付け場所に苗木をおき、3~5倍の大きさの穴を掘ります。深さは30~50cm程度です。
  2. 掘った土の半分を戻し、苦土石灰・完熟堆肥を規定量いれ、よく混ぜます。
  3. 深植えにならないように注意しながら、苗木の表土が地面よりも高くなるように土を戻します。足りない場合は、培養土で底上げを。
  4. 水が流れ出ないよう、苗木のまわりに盛り土をして、たっぷりと水やりをしてください。
2.普段のお世話
水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと、鉢底からあふれるぐらいまで。地植えの場合は、土の中に水がしみこんでいかなくなるまでが目安。
剪定
基本的には枯れ枝を中心に、日当たりと風通しがよくなるように切ればOK。
肥料
芽が出る前、実の付きはじめ、収穫後に完熟堆肥をあげて元気いっぱい。2月の苦土石灰も忘れずに。
植替え
鉢植え・コンテナ栽培は2~3年経ったら、ひとまわり大きめの鉢に着替えを。
3.栽培条件
場所
日光がたっぷりとそそぐ、風の吹きぬける場所が理想的。
水やりをしてすぐ、すうっとしみこむ水はけのよさが肝心。肥料はそれほどいりませんが、酸性土では育ちにくいかも。
気温
温暖な気候を好みます。寒さ暑さに強く、少しの間なら-10℃にも耐えます。
4.病害虫
病気
炭疽病、梢枯病など。栽培条件がよければ、ほとんど気にする必要なし。
ハマキムシ・オリーブアナアキゾウムシなどが主。すぐに対処すれば、枯れる心配はありません。

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3. オリーヴの収穫

簡単な収穫道具を使ったオリーヴの収穫(イタリアカン パーニア州)一般的に日本の気候ではオリーヴは5月頃に花を付け、異品種間で受粉して夏にかけて結実します。
実は秋にかけて成長し、それと共に中に油を生成し蓄えて行きます。さわやかな緑色から晩秋にはインヴァイアトゥーラ(invaiatura)と呼ばれる黒褐色の完熟状態になり、収穫期を迎えます。

簡単な収穫道具を使ったオリーヴの収穫(イタリアカン パーニア州)

 

収穫後のオリーヴ(すぐに搾油所に運ばれる)オリーヴの熟度は7段階に分けられており、加工して作られる製品の種類によって収穫の時期が選ばれます。オリーヴオイルの場合、実が低熟度(緑色の状態)の内に収穫し、搾油をして、フルーティで刺激のあるフルッタートと呼ばれるオリーヴオイルになります。

収穫後のオリーヴ(すぐに搾油所に運ばれる)

 

機械によるオリーヴの収穫(イタリアカラブリア州)熟度が上がって黒褐色になった状態で搾油がされると、一般的にはマイルドな味のオリーヴオイルになります。
イタリア南部では11月頃が収穫期のピークで、その収穫方法は手摘み、もしくは単純な収穫道具を使って行うのが普通です。

 

機械によるオリーヴの収穫(イタリアカラブリア州)

小豆島でのオリーヴ手摘み収穫風景

 

 

 

 

 

小豆島における手摘み収穫(小豆島オリーブ園)

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4. オリーヴの加工

イタリアカンパーニア州の搾油所(Di Giacomo 社)オリーヴにはオリーヴオイル加工に適した良質の油分を多く含む品種と、食用に向く品種があります。たとえばイタリア原産種のフラントイオは美味なエクストラヴァージンオリーヴオイルが取れることから、その栽培がイタリア全土に広がってきた歴史があります。

イタリアカンパーニア州の搾油所(Di Giacomo 社)

 

イタリアシチリア島の搾油所イタリアでは小規模な農園で栽培されるオリーヴを手摘み収穫後、近くの搾油場(フラントイオと呼ばれる、注:オリーヴ品種のフラントイオとは別)に運ばれ搾油されます。

 

イタリアシチリア島の搾油所

 

 

 

搾油所に運び込まれたオリーヴの実(葉が混じっている)搾油の一般的な工程は、まず収穫して運び込まれたオリーヴの実から葉などの異物を風を当てることで除去します。水で洗浄された実を圧搾機(一部には石うすが使われる)で潰してから練ります。

搾油所に運び込まれたオリーヴの実(葉が混じっている)

 

 

油分が遊離しやすくなるまで練られたペースト状になった実を、固形分と液状分に分け、遠心分離器で油分と水分に分けることでエクストラヴァージンオリーヴオイル(一番搾り)を取り出します。更に沈殿タンクに保管して、上澄みから純粋なエクストラヴァージンを取り、濾過します(一部には濾過しないで出荷されるものもあります)。

イタリアカンパーニア州Di Giacomo社の搾油ラインと経営者Di Giacomo氏、Di Giacomo社自社オリーヴ農園

イタリアカンパーニア州Di Giacomo社の経営者Di Giacomo氏、同社搾油ラインと自社オリーヴ農園

 

オリーヴはオリーヴオイル以外にも、収穫後に新漬け、オイル漬け、ペースト、スタッフドオリーヴ(実に詰め物をしたオリーヴ)等様々な加工品になります。

ナポリ郊外のカフェテリアでスナックとして出されるオリーヴミラノのパニーニ店で売られているオリーヴパン

ナポリ郊外のカフェテリアでスナックとして出されるオリーヴとミラノのパニーニ店で売られているオリーヴパン。

 

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5. オリーヴオイルの市場と販売

上海市内スーパーマーケットのオリーヴオイル売場オリーヴ加工品で最も一般的なものはオリーヴオイル、しかも一番搾りのエクストラヴァージンオリーヴオイルです。その食用油としての有用性から、世界的に需要が伸びており、特にBRICS等新興国市場における需要拡大には目を見張るものがあります。

上海市内スーパーマーケットのオリーヴオイル売場

 

日本でも近年需要は着実に推移しており、オリーヴオイルは家庭に常備されるようになりました。年間輸入量は4万トンに近付いており、消費量の99.9%は主にイタリア、スペイン等地中海沿岸国からの輸入によって賄われています。健康志向の浸透と地中海ダイエットの利点を取り入れた食事形態スローフードの普及が、特にエクストラヴァージンオリーヴオイルの消費を後押ししています。

供給面からオリーヴオイルを見てみますと、主産地は地中海沿岸国でイタリアとスペインが2大生産国ですが、オリーヴオイルの世界的な需要拡大から、栽培地の広域化と共に供給側の資本集約が進んでいます。Oleificio(オレイフィッチオ)と呼ばれる搾油業者と、そこから搾油後の油を買ってブレンドし、包装後出荷するブランドメーカーの国際分業による大規模化です。これによってオリーヴオイルの地域間品質格差が少なくなり、均一で大量のオリーヴオイルを世界的に供給する体制ができつつあります。この傾向は一方ではオリーヴオイルが地域の産物として、土壌、気候、品種、栽培方法、収穫と搾油の方法による違いがなくなり、個性を失う結果にもなっています。

イタリアカンパーニア州サレルノのプレジオエクストラヴァージンオリーヴオイル(オーガニック)オリーヴオイルで国際間の品質優位性を維持してきたイタリアでも例外ではありませんが、他方地域の特性を生かし、規模を拡大することなく、品質を優先する作り手の存在も目立ってきております。
これらの作り手は地域特有のオリーヴ品種にこだわり、栽培、収穫、搾油、瓶詰め工程を地域内で一貫できる規模を維持することで、品質優位性をもって差別化を図ろうとしています。

 

イタリアカンパーニア州サレルノのプレジオエクストラヴァージンオリーヴオイル(オーガニック)

 

これらのオリーヴオイル供給を巡る国際的な動きは、結果として製品の2極化をもたらしています。一つは資本集約化と国際分業による大規模化で効率よく加工される低価格のオリーヴオイルの流れと、他方では産地内適正化による品質特性重視の高価格オリーヴオイルの流れです。オリーヴオイルの更なる普及と安定供給のためには、両者が共存することが市場の発展には不可欠です。

日本のオリーヴオイル市場には幾つかの課題がありますが、供給側から見た場合には、更なる需要の喚起と国産オリーヴオイルのシェア向上です。この二つの課題に取り組むためには、オリーヴオイル、特にエクストラヴァージンオリーヴオイルの使用法の啓蒙が重要です。品質重視の国産でマイルドなエクストラヴァージンは和食にも合い、需要開拓の余地が大きいと言えます。

農業生産法人南あわじオリーヴ園では品質重視のエクストラヴァージンオリーヴオイルの国内生産と供給、DOMAグループで輸入販売する南イタリアの高品質エクストラヴァージンオリーヴオイルとのクロスマーチャンダイジングによる需要開拓を目指しております。

 

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6. オリーヴオイルの使い方

1)エクストラヴァージンオリーヴオイルの使い方

ここでは意外に広いオリーヴオイル、特にエクストラヴァージンオリーヴオイルの使用方法についてご紹介したいと思います。エクストラヴァージンオリーヴオイルは、一番搾り、オリーヴの実から搾られるオリーヴオイルの中でも最高位に位置付けられる品質のみに与えられる呼称です。

イタリアではオリーヴオイルに関する法律(UN1093.01)によって、実の収穫方法、加工、保存方法等が決められており、品質の基準の一つに酸化物質の含まれる比率(酸度という)があります。酸度0.8%以下というのがエクストラヴァージンの条件になり、酸化度の低さが品質の目安になります。酸度の低い、従って良質のエクストラヴァージンを作るには、収穫時、収穫後の運搬時に実に傷を付けない、収穫後すぐに(オリーヴオイルに関する法律では48時間以内に)搾油するなどの条件が必要です。

そうすることによって、酸度が低く、味の良い(風味、うまみ、苦味、辛味、甘味等)エクストラヴァージンオリーヴオイルが作られます。オリーヴオイルの中でも優れた品質のエクストラヴァージンは非加熱でそのままお料理等に使うのが基本です。

1 パンにつけて

パンにつけて朝食時に、小皿に大さじ一杯程度を入れてパンに付けてお召し上がり下さい。

 

 

2 トマトにかけて

トマトにかけて健康効果で注目されるカット生トマトにかけてお召し上がり下さい。トマトの酸味を抑え美味しく健康的に召し上がって頂けます。

 

 

3 サラダの自家製ドレッシングに

サラダの自家製ドレッシングにサラダ用の手作りドレッシングに、エクストラヴァージンオリーヴオイルと同量のバルサミコ酢、塩、胡椒を少々で、手作りドレッシングが作れます。生野菜サラダに振り掛けてお召し上がり下さい。

 

 

4 温野菜にかけて

温野菜にかけて茹で野菜、蒸し野菜にそのまま振り掛けて召し上がって下さい。

 

 

5 パスタソースのアクセントとして

パスタソースのアクセントとしてパスタ用レトルトソースなどの市販のパスタソースを温めて、召し上がる前にソースと和えてお召し上がり下さい。ソースがより本格的なパスタソースになります。

 

 

6 スープのトッピングに

スープのトッピングにコンソメスープ、クリームソース、野菜の煮込みスープなどにトッピングとしてお召し上がり下さい。

 

 

7 ヴァニラアイスクリームにかけて

ヴァニラアイスクリームにかけて小皿に盛ったヴァニラアイスクリームの上から振り掛けてお召し上がり下さい。アイスクリームがよりリッチに頂けます。エクストラヴァージンオリーヴオイルは低温(10度程度以下)で白濁しますが、美味しく召し上がって頂けます。

 

 

2)ピュアオリーヴオイルの使い方

オリーヴオイルには最高品質のエクストラヴァージンの他に、ピュアオリーヴオイルと呼ばれる加熱調理用のものがあります。味、風味等を非加熱で楽しむのが一般的なエクストラヴァージンに対して、ピュアオリーヴオイルは風味を抑え、加熱しても変化しにくいタイプとして生産されたオリーヴオイルです。製造方法は、エクストラヴァージンを精製して無味、無臭、無色のグルードオイル(化粧品原料等に使われる)に加工し、それにエクストラヴァージンをブレンドして作られます。

1 あらゆる料理の加熱調理に

あらゆる料理の加熱調理にピュアオリーヴオイルの食用油としての利点は、その組成にあります。エクストラヴァージンと同様に不飽和脂肪酸を多く含み、酸化しにくいのが特長です。

 

 

2 てんぷらの揚げ油として

てんぷらの揚げ油としてピュアオリーヴオイルは酸化しにくいことから、てんぷら油として繰り返して使うことができ経済的、油としての沸点が高いことからカラッと揚がる特長があります。てんぷらを自然な風味で美味しく召し上がって頂くことができます。

 

 

Negozio DOMA ショップご紹介

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Pregio Gife SetNegozio DOMA ショップでは、このページでご紹介しましたエクストラヴァージンオリーヴオイルをはじめ、厳選した食材を美味しい食材の宝庫のイタリアから取り寄せ、みなさまにお届けしています。ぜひとも、一度ご訪問ください。

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